11時の悲劇

実家に帰省する彼女を東京駅まで送り、その帰り道に秋葉原へ。
目的はといいますと。
ヨドバシカメラのTV売り場で、北島康介選手の平泳ぎ200m決勝を見るためです。
レースは11時からということで、5分前にNHKが移っているTVの前に陣取り、もう見る気満々。
他のお客さんも気になるらしく、TVの前には結構な人だかりができました。
そして番組がスタート。NHKのアナウンサーが期待の声もあらわに弾んでいます。


「さぁそれではお待たせいたしました。いよいよ北島康介選手の登場です!」


おお! と思ったその瞬間でした。


ブツ…ッ……。


あ…れ?
TV映らなくなっちゃったよ……?
映像を受信できません……?
え…?


辺りを見渡すと、サービスカウンターの中でゴソゴソと動く店員たち。
あ! 映像切りやがったっ!!!!!


集まってきた他のお客さんたちも一様に落胆の表情。
中には店員に詰め寄るおじさんもいました。
まぁ確かに、お店としての気持ちもわかるけどさ…。
いいじゃないか、ちょっとくらい……。


かくして、ゲンナリした顔でヨドバシを後にして、喫茶店に入ってひたすらi-modeのニュースとにらめっこ。
時間は既に11:30で、レースは終わっているはずなのに、なかなか速報が入りません。
すると携帯に彼女からメールがきました。


「北島、オリンピック新で金メダルだって! すごい!!」


………。
私にとってのニュース速報は、今まさに新幹線に乗っている彼女からのメールでした。


この時ほどワンセグ携帯だったら良かったなと思った瞬間はありませんでした……。